HOME > 掃除機ノズル開発秘話 > 製品開発から商品化まで 製品開発から商品化まで掃除機の分析と構想ミラクルジェットを開発するにあたって、まず行ったことが、掃除機の分析でした。 まず、ノズルの一番開発したい部分(進化させたい部分)といえば、ノズルの宿命とでもいうべき部分。すなわち吸い込む力を大きくしようとすると、作業は重くなり、時として張り付き動かなくなる。逆に作業を軽く楽にしようとすると吸引力が落ちて掃除能力が低下することになる。 その次には、ふとんやシーツも強い吸引でも楽にかけられるようにする。 この2つはなんとしても実現したかったものです。前者のニ律背反性を克服することで、吸引力をいたずらに抜くようなことから開放されます。 ではその2点を実現させるにはどうするか? どんな性能が出せるのか、後は実験しかありません。 モデル作成初期のモデルは、普通の掃除機のノズルの部品を一部利用して、身近にある材料である紙粘土やアクリル板を用いて作成しました。
なにせ、工具といっても普通の家庭にあるものしかありません。一番大変だったのが、ルーバーを構成する小さな板を50枚ほど切って同じ形に形成していくことで、ヤスリとカナノコの歯だけで作りました。 試作品を1個作っても完成ではありません。 実験一応、これでよいかな、完成かな、というモデルができて、テストに入った時、私自身びっくりしたことがありました。 ふとんの上から下にかけて黒っぽい筋が入っていました。「あれっ?こんな筋、初めからあったっけ・・・」と思い、手ではたくと筋が薄くなります。「あっ・・・」と私は気が付きました。 じゅうたんのテストでは、一番苦労したのが段通と言われるものです。ちょっとしたことで作業が重くなり、またカットされた柄模様部分の端で撒いた小麦粉が少し残るなど、吸込口の寸法や形状を少し変えては何度も何度も繰り返して実験をしたものです。 開発時のエピソードはいっぱいあり書ききれません。一番大変だったのはやはり資金的な面ですが、いつか機会があればお伝えしたいものです。 そうこうして、なんとか満足のいく、責任の持てる吸込口のノズルができ、それに基づき特許出願をいたしました。 商品化開発の名前をJESとしていました。 JESとはJet Streamの略称です。 私の友人がプラスチック成型の会社を知っているということで、多田プラスチック工業 株式会社(現在のミラクルジェット製造メーカー)を紹介してもらいました。 多田プラスチック工業(株)に特長、機能、などを紹介するにあたって資料作りをしていて気が付いたことは、市場に出ている従来の吸込口よりも、どの点をとっても優れていると書かなければならず、大変困りました。このように書くことは「大した特長がない」ということになりかねないからです。 会社訪問してJESの試作モデルで吸引力のパフォーマンスをすることに重点をおいて説明をいたしましたが、そのことより製品化した後の販売において、このことはたいへん苦労をすることになります。 多田プラスチック工業(株)とできるだけ早く製品化するという約束の元、契約したのですが、それから10カ月ほど空白の期間がありましたが、ようやく1999年4月1日から発売の運びになりました。
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