ミラクルジェットの開発から商品化までの流れをご紹介します。

新掃除機ノズル「ミラクルジェット」公式サイト

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製品開発から商品化まで

掃除機の分析と構想

ミラクルジェットを開発するにあたって、まず行ったことが、掃除機の分析でした。
私だったらどんなものが作れるだろうか・・・。

まず、ノズルの一番開発したい部分(進化させたい部分)といえば、ノズルの宿命とでもいうべき部分。すなわち吸い込む力を大きくしようとすると、作業は重くなり、時として張り付き動かなくなる。逆に作業を軽く楽にしようとすると吸引力が落ちて掃除能力が低下することになる。
この誰も手のつけていない課題の解決。

その次には、ふとんやシーツも強い吸引でも楽にかけられるようにする。

この2つはなんとしても実現したかったものです。前者のニ律背反性を克服することで、吸引力をいたずらに抜くようなことから開放されます。
後者は、ふとんなど厚みのあるものの中の微細塵を吸い込むには、ふとんの中から空気を強く大量に吸い込むノズルが必要ですが、ふとん専用として市販されているものは、ふとんの布との間に大きな隙間ができていて、それで布をかみ込まなくしているが、そのおかげでふとん内部から吸い込む空気など微量なものになり、内部の微細塵を吸い出すことはおよそ実用的でないものばかりだからです。

ではその2点を実現させるにはどうするか?
即座に思いついたのが、窓のブラインドなどに使われている薄い板のルーバーです。この平行にならんだ薄板で、ふとんやじゅうたんを押さえて吸込口に吸い込まなくすれば…ということでした。それにより床材と吸込口との間にできる隙間を制御することで、安定した最適な吸引力も実現できるかもしれない。さらに吸込口全体が強い吸引力で床材に押し付けられても、薄い板状のルーバーでは接触面積を小さくできるので、軽くすべらすことも可能かもしれないと、期待に少しわくわくしました。

どんな性能が出せるのか、後は実験しかありません。

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モデル作成

初期のモデルは、普通の掃除機のノズルの部品を一部利用して、身近にある材料である紙粘土やアクリル板を用いて作成しました。 なにせ、工具といっても普通の家庭にあるものしかありません。一番大変だったのが、ルーバーを構成する小さな板を50枚ほど切って同じ形に形成していくことで、ヤスリとカナノコの歯だけで作りました。
それをノズルの底に取り付けるのが、また大変なことです。
なにしろ私は並ではない生来の肩こり性ときていますから、それはもう地獄に近いものでした。

試作品を1個作っても完成ではありません。
何度も少しずつ寸法やルーバー数を変えては製作といった作業が続きます。
ほとんど私の場合は、設計のアイデアとの勝負というより、肩こりのつらさとそれから来るめまいとの戦いでした。
がんばれたのは、これで初めて掃除機ノズルが進歩するという思いがあったからです。

実験

一応、これでよいかな、完成かな、というモデルができて、テストに入った時、私自身びっくりしたことがありました。
それは、ふとんがかみ込まず楽にかけられるかどうかテストする時のことです。
比較的薄い夏用かけふとんを畳の上に敷いて、掃除機をかけるとまずまず、うまくかけることができて裏面も・・・とひっくり返した時です。

ふとんの上から下にかけて黒っぽい筋が入っていました。「あれっ?こんな筋、初めからあったっけ・・・」と思い、手ではたくと筋が薄くなります。「あっ・・・」と私は気が付きました。
なんと・・・畳と畳の境目からホコリが上がってきて、ふとんに筋をつけていたのです。急いでその筋に掃除機がけをしたらキレイに取れました。
ミラクルジェットでふとんをかける前には、畳の掃除を先にしておかなければいけないということを皆様にも知っておいていただきたいと思います。
ふとんに関しては、これで最高の吸込口になったと自信を持ちました。

じゅうたんのテストでは、一番苦労したのが段通と言われるものです。ちょっとしたことで作業が重くなり、またカットされた柄模様部分の端で撒いた小麦粉が少し残るなど、吸込口の寸法や形状を少し変えては何度も何度も繰り返して実験をしたものです。
これは根気以外なかったと思います。

開発時のエピソードはいっぱいあり書ききれません。一番大変だったのはやはり資金的な面ですが、いつか機会があればお伝えしたいものです。

そうこうして、なんとか満足のいく、責任の持てる吸込口のノズルができ、それに基づき特許出願をいたしました。

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商品化

開発の名前をJESとしていました。 JESとはJet Streamの略称です。
今もその名前は品番に残されています。

私の友人がプラスチック成型の会社を知っているということで、多田プラスチック工業 株式会社(現在のミラクルジェット製造メーカー)を紹介してもらいました。

多田プラスチック工業(株)に特長、機能、などを紹介するにあたって資料作りをしていて気が付いたことは、市場に出ている従来の吸込口よりも、どの点をとっても優れていると書かなければならず、大変困りました。このように書くことは「大した特長がない」ということになりかねないからです。

会社訪問してJESの試作モデルで吸引力のパフォーマンスをすることに重点をおいて説明をいたしましたが、そのことより製品化した後の販売において、このことはたいへん苦労をすることになります。

多田プラスチック工業(株)とできるだけ早く製品化するという約束の元、契約したのですが、それから10カ月ほど空白の期間がありましたが、ようやく1999年4月1日から発売の運びになりました。

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